みなさん、どうも僕です。
人間ってどうしても見た目や人種、立場で無意識に「この人はこんな人だ」って勝手に判断してしまうところってありますよね。
それって実は差別に繋がったりします。人間の中身なんて見た目なんかで分かりっこないのにね!
でも、本当に心と心が触れ合って、真に分かり合える人間関係って、そういった見えない心の「目隠し」を取り去った時にはじめて手に入れることが出来るんです!
つまらない偏見や世間体なんて捨て去ってしまえ!
そんな素敵な叫びがスクリーンから聞こえてきそうな、とびっきり感動できる映画に出会えました!
それこそが今日ご紹介する「最強のふたり」というドラマ映画。
ぜひ多くの人に見てもらいたいので、しっかりレビューしていきますよ!
フランスの名優フランソワ・クリュゼ、オマール・シー主演の歴代観客動員数2位の超話題作!
「最強のふたり」は2011年フランスで制作された作品。
フランス映画史上、観客動員数第二位という記録を叩き出した超人気作品なんです!
フランス映画界で最高の栄誉とされるセザール賞の各部門でノミネートされ、主演のオマール・シーが主演男優賞を受賞するなど高い評価を受けています。
全身麻痺で体の自由がきかない大金持ちと、スラム街出身の黒人青年・・
まったく立場や境遇が違う二人が織りなす予想外のドラマにおもわず引き込まれてしまう、そんな熱い映画に仕上がってます。
よく出来たストーリーとすら思ってしまうこの作品は実はフィクションではなく、実話をもとに作られていることにビックリ!
「最強のふたり」のストーリー、あらすじ(ネタバレあり)
宮殿のような大豪邸に住む大富豪、フィリップはパラグライダーでの事故で頚椎損傷の身となり、首から下の神経が全く無い全身麻痺をわずらう身体障害者でした。
何をするにも他人の介助を必要とする身。
それに加え、最愛の妻に先立たれてショックを引きずりながら、裕福ながらもどこか満たされない憂鬱の日々を過ごしていました。
そんなフィリップが、自分の日常生活で介護を行う介護人の募集を行っていたところ、多くの面接応募者に交じってドリスが面接会場にあらわれます。
ドリスは移民が多く住む公営住宅が立ち並ぶスラム街に住む黒人の若者。
実の母親ではない叔母を「母親」と呼ぶ複雑な家庭環境を持つ、世間からつまはじきされるような問題児でした。
乱暴なふるまいで勝手に面接会場に入り込んだドリスは、不採用を記した書類にさっさとサインするようフィリップや秘書のマガリーに詰め寄ります。
ドリスがまともに面接を受けず、書類にサインを要求したのには訳がありました。
採用面接の不採用通知を3枚集めると失業手当がもらえるからでした。
介護人になるつもりなど毛頭無く、失業手当を得るためだけにその場にあらわれたドリスにフィリップは興味を持ちます。
翌日、不採用の書類を取りに来たドリスに対しフィリップは、あろうことか、自分の豪邸に住み込みで介護をしてみないかと誘います。
貧しい移民たちが多く住むカオスのようなスラム街・・ドリスはそんな世界から抜け出してひょんなことから豪邸暮らしが始まります。
障害者の介護なんてやったことのないドリス。
前科さえ持っている彼は言葉づかいも乱暴極まりなければ、フィリップの介護だっていいかげんそのもの。
何も感じないフィリップの体を試してみるために、フィリップの足に熱湯をかけて「ほんとに何も感じないの?」と「実験」してしまうドリス。
だけど、フィリップは障害者としてではなく、普通の人間として対等に接するドリスの本音全開の立ち振る舞いにおもわず顔がほころんでしまうのでした。
とんでもない騒動を巻き起こすドリスを介護人に取り入れたものの、フィリップの知人たちは気が気じゃありません!
みな、「あんな乱暴な人間を介護人に置いておくのはおかしい」とフィリップに進言しますが、フィリップは一向に意に介しません。
「彼だけは私を対等に扱う」
それこそフィリップがドリスを高く買う理由でした。
ドリスが起こす騒動に周りの人はヒヤヒヤする一方、自分を一切障害者扱いしないドリスの姿に、これまでとは違った日常に生きる楽しみ、希望を見出していくフィリップ。
そんなある日、ドリスの弟が悪い連中から暴力を受け、怪我をした姿でドリスのもとに現れます。
その光景を見ていたフィリップは、家族のもとに帰るようドリスを諭し、介護人をやめるよう告げるのでした。
そして、フィリップはドリスの代わりに新しい介護人を雇います。
しかし、ドリスと違い、丁寧だが障害者扱いする介護人にやきもきし、つまらない日常を再び過ごすことに。
そんなある日、原因不明の発作がフィリップを襲います。
その様子を見ていてなんとかしたいと思ったドリスのかつての同僚、イヴォンヌは急遽ドリスに連絡を取ります。
そして、久しぶりに再会したふたり。
フィリップはドリスに願いを伝えます。
「外の世界へ」
ドリスはフィリップをマセラティに乗せ、度胆を抜くスピードでドライブに出かけます。
着いたのは穏やかな海が見える絶景の場所。
清々しい空気、そしてドリスの変わらぬ振る舞いがフィリップの心を再び明るくしていきます。
全く違うデコボコなふたり。だけど、なぜか繋がりあっているふたりだと気分も弾むから不思議です。
海沿いの景色のきれいなレストランで楽しい時間を過ごしたふたり。
そして突然席を立つドリス。
それはフィリップにとんでもないサプライズをプレゼントするための演出だったのです!
「最強のふたり」レビュー、感想
首から下を一切動かすことのできない重度の障害を持つ大富豪と、スラム街出身の黒人青年。
まったく共通点の無いふたり。
粗暴だけど一切障害者としての見方をしないドリスにフィリップのほうがどんどん引き込まれていくのが映画を見ていてわかります。
クラシック音楽が流れる静かで退屈なフィリップの誕生パーティーも、ドリスの勝手な提案で「アース・ウインド&ファイアー」の音楽に合わせてみんなで踊りまくるダンスフロアに早がわり。
そうかと思えば、フィリップを怪しげな女性がサービスを行う店に連れて行ったり、フィリップに雪を投げつけては「たまには投げ返して来いよ」と好き勝手に振舞うドリスの姿が印象的です。
普通は「障害者はいたわりなさい」と言われるところですが、そもそもその感覚自体がドリスには無いんです。
でもある意味、「障害者をいわたる」視点ってのは同時に見下げて差別することにも繋がりかねないのが現実なんです。
ドリスにはそこがすべて欠落していて、障害者をいわたる感覚も、障害者として差別する発想自体も何も持ち合わせていないんです。
あるとすれば「ひとりの人間」と「ひとりの人間」の関係性だけ。
それは見た目や境遇、人種や障害の有無で人間の足元を見ることではなく、魂と魂をぶつけ合うこと!
障害や出自を一切気にすることなく、相手をイジり、それをおもしろがるイジられ役。
相手が障害者なら、普通は手加減したり、手を貸すことに腐心するところ。
社会や世間が勝手に決め付けたつまらないハードルをものの見事に飛び越えて、その向こう側に広がる風景に出会えるふたりこそ最強!
そんな最強のふたりが見せてくれたのは、人生の暗い部分を見るのでなく、明るい部分に勇気をもって躍り出て、人生のダンスフロアで精一杯自分を表現することの重要さ!
人生捨てたもんじゃない!!
そう実感できる、観た後になんともいえぬ清々しさを感じさせる痛快な一作です!
まとめ
これは障害者の生活や黒人男性の人生を描いたドラマではありません。
魂と魂のぶつかり合いってこんなものだ!と声高らかに歌い上げる感動の実話。
見た目やハンディキャップ、身分で人の格付けを行うなんてクソなことは一切やめて、裸の心で接すればどんな人間だって繋がりあえるってことをこの映画は教えてくれています。
折に触れて何度でも見たい・・そんな中毒性さえある、人生の友となるべき一作品にきっとなると思いますよ!