どうも僕です。
2020年の音楽界にセンセーショナルな話題を振りまいた瑛人の「香水」。
ほろ苦い恋愛体験をみずみずしい感性で歌い上げた、なんとも「心にグッと来る」名曲ですが、
って思いませんか?
そう思いますよね?
そのヒットの裏には、人の琴線に触れる「武器」が隠されていたのです!
Contents
名曲には必ず人の心に刺さる「五感フレーズ」が隠されている
名曲というのは、人の心に半端ないほどに深く刺さるからこそ名曲と呼ばれているワケです。
で、その名曲には必ずと言っていいほど、人の心をぐらりと揺り動かすスパイスが投入されています。
そのスパイスとは。。
「五感」です。
「五感」とは視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のことを指し示します。
ご存知の通り、人間が外界の刺激を認識するのはこの五感のいずれかを経由して行われます。
したがって、この五感を刺激するものほど人間は反応しやすいということになります。
それこそが名曲に「五感」を感じさせる表現、すなわち「五感フレーズ」です。
童謡の「赤とんぼ」が長く愛される理由
あなたは子供の頃に聞いた童謡の「赤とんぼ」はよくご存じでしょう。
子供だった頃の懐かしい時代を想起させる名曲ですよね。
「赤とんぼ」を聴くと、なんだか心の中が「じわーん」と和む感覚を得られることでしょう。
この「赤とんぼ」も五感を非常にうまく使った曲と言えます。
歌詞の中に
夕焼け小焼けの赤とんぼ
負われて見たのはいつの日か
というフレーズが出てきますが、これは子供の時に、親(あるいはお兄さんかお姉さん)の背中におんぶされた状態で、背中越しに夕焼けをバックに飛んでいる赤とんぼをぼんやり眺めた思い出のシーンを描いたものです。
この歌には直接的におんぶしてくれてる親の存在が書かれていないにもかかわらず、その情景を聴き手にイメージさせることで、おんぶしてくれた親(あるいは兄弟)との思い出、懐かしい子供の頃という、誰にも共通する「昔を懐古する郷愁」を誘ってるワケですね。
この「赤とんぼ」で言えば、オレンジ色に染まる夕焼け空をバックに飛ぶ赤とんぼという「視覚イメージ」が人の心に懐かしい思い出をフラッシュバックさせているのです。
人の心を揺り動かす、言い換えれば、「エモい感情」を大々的に喚起してくれるのが五感というワケです。
あなたも過去に付き合った女性(男性)との思い出を心に中に呼び起こそうとした時、彼女(彼氏)の顔や姿というよりも、一緒に行った場所の情景や食べた物、交わした会話や、手を握った時の感覚などといった五感の記憶のほうが強く心に残っていることがあるはずです。
人の気持ちを揺り動かす、エモい感情はこういった五感の記憶がカギを握っているのです。
「香水」は嗅覚で人の心を惹きつける!
長々と前置きを書きましたが、肝心な瑛人の「香水」の歌詞を分析してみまししょう。
僕が指摘したいのは歌詞のこの部分。
別に君を求めてないけど 横にいられると思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ
ってフレーズ。
ここが聴き手にエモい感情を焚きつけてるワケですが、昔好きだった女性との思い出をことさら煽り立てるのは「ドルチェ&ガッバーナの香水」の香り。
つまり五感のひとつである嗅覚を刺激している点が特筆すべき点なのです。
嗅覚と言えば、焼肉店の前を通り過ぎる時に、店から流れてくる「香ばしい肉を焼く匂い」を嗅いだばかりに、その後どうしても焼肉が食べたくなるってことがあるでしょう!(「焼肉の口になる」なんて言いますよね)
アレも美味しそうな焼肉の匂いを嗅いだことで、過去に味わった焼肉を食べた時の感情がまざまざとリアリティをもって脳裏に蘇ってくるのです。
もちろん、テレビで焼肉をジュージューとやってるシーン(視覚イメージ)を見ても、たしかに食べたくはなりますけど、焼肉の匂いを嗅いだ時のほうが「食べたくなる」衝動はハンパなく大きいですよね。
この違いはなんなのでしょう??
「嗅覚」は脳の記憶に直結しているからエモさに響く!
脳には記憶をつかさどる「海馬」(かいば)という器官があります。
五感を通じた情報はどれも最終的にはこの海馬に到達しますが、五感のうち嗅覚だけが海馬にダイレクトに伝達されることが知られています。
参考:脳は「匂い」に逆らえない。匂いで記憶をコントロールする方法。
つまり、嗅覚による匂いの感覚こそ、最も記憶を呼び覚ましやすい感覚というワケです!
瑛人の「香水」は、赤とんぼの視覚イメージを超える「匂い」で聴く人のエモい感情に訴えかけてるということになります。
そう考えると、瑛人はああ見えて結構戦略家なのかも。。
なんて気もしてきます。
大ヒットの裏には「五感」を有効活用した、人の心を強く揺り動かすメカニズムがほどこされていたという話。
「なんか来るな~」という感情は、あなたの気のせいなんかではありませんよ!
まとめ
「香水」が多くの人の共感を得たのは「五感」をうまく利用していたのが理由の一つです。
そういったメカニズムを理解した上で「香水」を聴いてみるとまた違った見方ができるかもしれませんね。