わたしもすっかり40代中盤を迎え、すっかり40代のプロ!
人生なにかやり残したことはないかなぁと漠然と思ってたんですけどね、そういえば日本の古典芸能について全然知らないなぁ!ってことに気付いたんですよね!
イヤ、こらイカン!ってことで、せっかく大阪に国立文楽劇場っていう立派な施設があるわけだから文楽を観に行っちゃおう!ってことで行ってきましたよ!
皆さんの中にも「文楽ねぇ・・行ってみたいけど、どうも敷居が高そうで・・」って思ってる人、結構いるんじゃないでしょうか??
でもね、実際に見に行ってみるとね、全然そんなにビビることはなくってね、古典だとか四の五の言わず、純粋にエンターテイメントとして観ればいい!って確信しましたよ!
古典芸能の中でも文楽は庶民に親しまれてきた伝統芸能ですから気軽でイイんですよ!
今日は文楽未体験だけど観てみたい!そんなあなたの背中をそっと押す記事を書いてみたいと思いますよ!!
Contents
文楽とは?人形浄瑠璃とは?
日本の古典芸能で言えば、テレビなどメディアでも露出度の高い歌舞伎だったら市川猿之助とか片岡愛之助とか有名人も多いし、イメージが湧くと思うんですけど、文楽とか人形浄瑠璃とか言われても、パッと頭に絵は浮かぶけど、詳しい中身はよくわからない・・そんな感じじゃないですか?
そんなあなたに文楽とはなんぞやという部分をカンタンにご説明しますよ!
文楽、人形浄瑠璃の発祥
今の文楽、人形浄瑠璃という形の原型が完成されたのが江戸時代初期。
もともとは全く別物だった耳で聞く音楽の「浄瑠璃」と、動きで人の感情を表現する「人形劇」が合わさり、視覚と聴覚で人々の心に訴えかける文化として発展しました。
江戸時代には各地で人形浄瑠璃が行われ、様々な流派が興ったものの、大阪で、竹本義太夫の「義太夫節」や近松門左衛門による「曽根崎心中」、それから仮名手本忠臣蔵(忠臣蔵)と言った現在でも有名な演目が大流行。
大阪の町人文化の中で人形浄瑠璃、文楽は根付き、人々に愛される存在となったことから、大阪が文楽が最も盛んな地となり、現在も国立文楽劇場が大阪にあるというわけです。
ちなみにもともと「文楽」は人形浄瑠璃を行う劇場のことを指していましたが、現在では人形浄瑠璃の代名詞として定着しています。
2003年にはユネスコ無形文化遺産として登録され、名実ともに大阪、そして日本が誇る伝統芸能として認識されています。
文楽、人形浄瑠璃のしくみ
さきほどお伝えしたように文楽とは浄瑠璃(音楽)+人形=人形浄瑠璃をあらわすものです。
大きな舞台では3人がかりで人形を操り、そして舞台上手(観客先から右)には登場人物の語りを一人で演じる「太夫」と、太夫の語りを表情豊かに盛り上げる「三味線」の三位一体で行われるのが文楽の大きな特徴です。
染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)のあらすじ、ストーリー
わたしが国立文楽劇場で観たのは、初春文楽公演の中の演目「染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)」。
文楽でたびたび登場する男女の仲を描いた心中ものですね。
カンタンなあらすじ、ストーリーはこんな感じ。
油屋の娘、お染は山家屋清兵衛と結婚が決まっていたが、実は丁稚の久松と道ならぬ恋仲にありました。
人知れずお染に好意を寄せていた番頭の善六(おっさんやがな!)はお染の兄である多三郎を店から追い出そうと企てますが、お染の婚約者の清兵衛に見事見破られ失敗します。
その後、今度は久松とお染の仲を引き裂こうと久松がお染に宛てた手紙を番頭善六(完全に悪役!)が清兵衛に読ませようとするのですが、ここでも婚約者の清兵衛があらかじめ入手していた番頭善六がお染に宛てた恋文にすり替えるという神対応をします。
読まれている時に自分の恋文だと気付き、焦りまくる番頭善六!その弱り具合ったらない!
「読まずとおいてもらいたなあ・・」と清兵衛に懇願するも悪事がバレ、善六は暇を出され店を追い出されることに。
その年の大晦日、久松は奉公している店の主人と清兵衛に申し訳が立たないと自害しようと決意しますが、恋仲にあったお染も一緒に自害すると思いを伝えます。
実はお染は久松の子供を身ごもっており・・
その事をお染の母親のおかつに知られていたのでした。
そこへ久松の父親の久作が地元で縁談がまとまった久松を連れ戻しに来ます。
久松はそれを断りますが、激昂する久作。
実は久松の奉公先の娘との道ならぬ恋を知り、申し訳が立たぬと二人の仲を裂くためにやってきたのでした。
そして説得の末、お染は婚約者の清兵衛と結婚し、久松も地元に帰ることを約束します。
そして、久松が年が明けるまで「何かあってはダメだ」ということで、店の蔵の中に留め置かれることに。
久松を諦めることが出来ないお染は寒い中、蔵の中にいる久松に呼びかけ、やはり二人で心中しようと覚悟を交わします。
そこへお染の動作を察知した父親の太郎兵衛が出てきて、二人の覚悟が無に帰すところだったんですが、ココにも「お邪魔虫」の番頭善六が蔵にある金目の物を狙って登場、出くわします。
そして、善六が蔵のカギをガチャっと開けた瞬間、「そら来た!」と中にいた久松が善六を突き飛ばし、お染の手を引いて暗闇の中を二人で逃げていく・・
こんなお話。貞操観念が強かったはずの江戸時代、男女の仲は時代が変われどあんまり変わらなくて、結構ゲスい感じだったのね・・って感じ。
美談かどうかは観る人次第ですけど、話のストーリーは極めて分かりやすかったです!
文楽、人形浄瑠璃を観た感想、良かった点
はじめての文楽でしたが、いやぁ~結構面白かったですね~
ってことで今回の文楽初体験を総括しましょう!
1.字幕スーパーがあるので、何を言ってるかわかる!
これは全く情報として持ってなかったんですけど、上演されている時に太夫が感情豊かに語りを行うのですが、その際に太夫のセリフがなんと舞台上部にある字幕スーパーを映し出すモニターが設置されていてそこに全部文字が出るので、何をしゃべってるか全部読めちゃうんですよね!
そりゃ、昔の話なので、言い回しなんかは現代ではちょっと使わないセリフとかありますが、そこは日本語ですから字幕スーパーのおかげもあり、太夫が話している言葉の意味はほとんどわかりました!
これは大きいですし、「文楽は何を言ってるのかわからない・・」ってことにはならないと思います。
2.あらすじ、ストーリーを事前に知っておけば、より楽しめる!
ま、とは言え、セリフの中身はわかっても、話の流れがちょっとわかりづらいところはあったんです。
わたしの場合、文楽が初めてでしたし、周りのお客さんが「アハハハ」って笑っるところで意味がわからなかったり・・。
ってことで観た上で実感したのはあらすじやストーリーを事前に知っておいたほうが楽しめるよ!ってことです。
劇場に置いてあるチラシの裏に実はあらすじが書いてあるので、コレを読んでカンタンに「予習」しておけばバッチリです。
3.文楽は高くない!観劇料は意外とリーズナブル!
最初、文楽ってきっと観劇料が高いんだろうなぁと思ってたんです。
でも、わたしが観た講演は
1等席が6,000円で、2等席が2,400円。
観劇料は公演によって違うのでいちがいには言えませんが、思ったほど高くないです。
さすが庶民に育まれた伝統芸能ですね!
しかも1等席と2等席に差は「前の方」か「後ろのほう」かの違いだけ。
上の写真はわたしが取った2等席から撮影した上演前の風景。
「後ろのほう」って言っても全く問題無く見えましたよ!
人形の細かな動き、しぐさをしっかり見たいって人はオペラグラスを用意しておけばいいですしね。
4.太夫が時事ネタを放り込むアドリブが意外とウケル!
いや、ココはちょっと意外な点でしたけどね。
わたしが観た「染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)」は序段で番頭善六が悪さを働いたためにやり込められるシーンがあって、結構笑いを誘う場面があって、「エッ文楽ってこんなに笑いを取るの??」っていうぐらいコミカルなシーンが多かったんですよ。
その番頭善六のやり取りの中であろうことか、語りをしている太夫が「PPAP」の「I Have a Apple」とか、「君の名は!」とか時事ネタを放り込んできたんですよ!
古典なんだけど、いろいろ創意工夫をしようっていう気構えが素敵だなぁって思っちゃいましたね!
5.感情移入してしまうともはや「人形」とは思えない!
文楽の魅力のひとつは老若男女、いろんな登場人物によって声色、話口調、テンポを変えて絶妙に話をすすめていく太夫の「語り」です。
高い声、低い声、笑い声、泣く声・・
登場人物、場面に応じてその語りひとつで見事に話を展開していく技たるや素晴らしいなぁと感慨しきりでしたね!
観てて思ったんですけど、当然舞台にいるのは「人形」なんですけど、太夫の語りに聞き入りぐっと感情移入していると、人形の細やかな仕草、動きも相まって、もはや人形とは思ってなくて、人間そのもの!っていう感覚になってくるんですよね!不思議なことに!
6.予想通り観客の年齢層は高い!
これは驚きでもなんでもなかったですけど、観客の年齢層は予想通り高かったです。
わたし40代ですけど、観客の中ではかなり若い部類に入ってました。
ほとんど60代!70代!って感じでした。
観終わった後の感想としては「もっと若い人が文楽のことを知ればいいのになぁ!」ってこと。
面白くないならともかく、エンターテイメントとして今に通じるものがあって普遍的な題材を扱ってるので、結構観てみたら面白いと思うんですけどね!
国立文楽劇場の概要、アクセス、チケットの購入方法
かつて橋下(元)大阪市長に補助金削減を申し渡された文楽事業
国立文楽劇場は1984年に開館した日本で4番目の国立劇場です。
ここでは文楽の他にも演劇、漫才、落語、浪曲などの公演もあり、大阪における芸能文化の育成、発展に寄与している施設です。
かつて橋下さんが大阪市長だった時に補助金の大幅な削減を言い渡され、長く愛されてきた文楽という伝統芸能が厳しい冬の時代を迎えています。
財政再建は急務としても、世界に誇るこの伝統芸能はなんとか存続させてもらいたなぁという気持ちですね。
国立文楽劇場へのアクセス
地下鉄(堺筋線・千日前線)「日本橋」駅、(近鉄奈良線)「近鉄日本橋」駅 下車
7号出口より徒歩 1分
住所: 大阪府大阪市中央区日本橋1-12-10
電話番号:06-6212-2531
チケットの購入方法
チケットはパソコン、スマホから購入可能で、国立文楽劇場のサイト(日本芸術文化振興会HP)の「チケットを購入する」のところから予約、購入をすること出来ます。
または国立劇場チケットセンターまでお問い合わせください。
電話 0570-07-9900/03-3230-3000[一部IP電話等] (午前10時~午後6時)
まとめ
軽い気持ちで観に行ってみた文楽。
「お高くとまってるんじゃないの」とタカをくくってましたけど大間違いでした!
今も昔も庶民に愛されたきた伝統芸能のフトコロの大きさは想像以上!
劇場も大阪のど真ん中にあるわけだし、気軽に観に行ってみると目からウロコ!楽しめると思いますよ!